遺言

自筆証書遺言 簡略化

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日は遺言についての情報です。

今日の新聞に自筆証書遺言の法改正に向けた動きがスタートしたと載っていました。
具体的には、自筆証書遺言の厳格な要件を緩和する動きのようです。

現在の民法では、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、これに押印が必要ですが、押印までは必要ないのではないかという意見が多いそうです。遺言者がせっかく作成した遺言も、要件を満たさず無効となってしまってはせっかくの制度も活かされません。

ただし、偽造などを誘発することに繋がるとの懸念もありますので慎重に進めていただきたいところです。
今後1年以上かけて審議していくとの事です。

公正証書の作成件数は、2005年は約6万9000件で、2014年は10万4000件に増加したそうです。
すごい伸びですよね。もっと増えて欲しいですね。

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遺言書の「変更」「撤回」について

こんにちは。司法書士の三輪です。
今日は、前に書いた遺言書を「変更」「撤回」するにはどうしたら良いかをお話します。
 
まず、遺言の「変更」ですが、遺言の全部を「変更」するときは、前の遺言を「撤回」したうえで、新たな遺言をすることができます。その場合、前の遺言の撤回と新たな遺言を別々の書面で行うことも、前の遺言の撤回と新たな遺言を同時に同一の書面で行うこともできます。
遺言の一部を変更するときは、前の遺言の一部を撤回したうえで、その撤回した部分について新たな遺言をすることができます。この場合も、別々の書面で行うこともできますし、同一の書面で行うこともできます。また、一部分でしたら、前の遺言の「△△の部分を○○に改める」などといった簡単な文言によって変更することもできます。

次に遺言の「撤回」についてです。「遺言の撤回」とは、前に行った遺言の効力を失わせることをいいます。遺言者自身の意思次第で、いつでも、自由にできるものですが、そのためには、「新たな遺言」をしなければなりません。新たな遺言は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」のいずれの方式でも行うことができます。

前に遺言した人が新たな遺言をして、前後の遺言内容が抵触するとき、民法では、その部分について「後の遺言で前の遺言を撤回した」とみなしています。撤回された遺言の効力は、前の遺言の全部(または一部)を新たな遺言で撤回(※その行為が詐欺や脅迫による場合を除く)した後、さらにそれを撤回しても、前の遺言の効力は回復しません。

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遺言

こんにちは。司法書士の三輪です。

脳梗塞で倒れた夫にペンを握らせ、「妻が手を添えて」作成した遺言書は有効か?について判例を交えてお話します。
この場合、自筆証書遺言になるわけですから、遺言者に遺言する意思能力があることのほかに、文字を書く能力が必要となります。たとえ脳梗塞で倒れた夫が遺言をする意思能力があったとしても、「妻が手を添えて」書いた遺言書が遺言者の自筆による遺言書といえるかどうか疑問が生じ、有効かどうかについて、問題となりやすいといえます。

判例をご紹介します。他人の添え手が、単に、最初の文字の位置や改行に当たっての字の配りや行間を整えるために遺言者の手を用紙の正しい位置に導くという程度にとどまるか、遺言者の手の動きが遺言者の望みに任されており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけで、添え手をした他人の意思が入った形跡がないことが筆跡のうえで判定できる場合には、自書の要件を満たすものとして、有効であるとするものです。

このように、遺言が有効とされる場合は「限定的である」と考えられますので、このような場合は、「公正証書遺言」を行うことが適当です。

次に、「私が死んだら、特定の人に財産を譲る」という趣旨の「念書」遺言として有効か?
についてお話します。
遺言の方式に従って作成された遺言書だけが、遺言として有効です。念書とは、一般的には約束事などを後々の証拠として残すために書いた書面のことを指すものです。念書が遺言書と認められるかどうかを判断することは困難です。したがって、財産を譲る意思がある場合は、後日、問題となることを避けるためにも遺言の方式に従って、遺言書を作成し、標題にははっきりと「遺言書」と書きましょう。
 
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公正証書遺言

こんにちは。司法書士の三輪です。
 
今日は、「公正証書遺言」の手続きについて詳しくお話します。

公正証書遺言は、2人以上の証人の立会いのもとで行われます。
手順は、①遺言者が自ら遺言の趣旨(内容)を口頭、手話通訳人の通訳、自書などによって公証人に述べ、②公証人が、その趣旨を筆記し、その筆記した内容を読み聞かせ、閲覧や手話通訳人の通訳によって遺言者と証人に伝え、③遺言者と証人全員がその筆記した内容が正確なことを承認して署名し、押印したうえ、④公証人が署名押印することによって行われます。

※証人についてですが、①未成年者、②推定相続人と受贈者、これらの配偶者や直系血族(子・孫・親など)、③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記や使用人はいずれも証人になることはできません。また、④これらに当たらない人でも証人は必ず署名する必要がありますので、署名することができない人は証人になることができません。

必要書類は印鑑証明書、実印のはか、遺言の内容によって異なりますが、相続人の戸籍謄本、受贈者の住民票の写し、証人や遺言執行者の住民票の写し、また、遺言する財産の中に不動産がある場合には、登記事項証明書や固定資産評価証明書など、遺言公正証書を作るために必要な書類の提出を求められます。

当事務所では公正証書遺言の実績が多数ありますので、何でもご相談ください。

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自筆証書遺言

こんにちは。司法書士の三輪です。
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(今朝の日の出)

今日も遺言についてです。
自筆証書遺言を書くうえでの注意点、また、録音や収録で遺言は残せるかをお話ししたいと思います。

自筆証書遺言の必要事項は、遺言者が①遺言の全文、②遺言の年月日、③氏名を自書し、④押印しなければなりません。これらのものを一つでも欠いた場合、遺言としての効力は認められません。遺言書の日付は、遺言者が遺言書を作成したときに、「遺言をする意思能力があったかどうか」を判断するために大変重要です。日付が書かれていても、年と月だけで、日が書かれていないものや「平成27年12月吉日」のように、日にちが具体的に書かれていないものも無効です。

遺言書を書いているときに、加筆したり、削除したり、訂正したり等 遺言書の記載を変更するときは、遺言者が遺言書の余白に変更の場所を指示し、変更した旨を付記します。 
 
次に遺言者が、音声で録音、ビデオで収録したものは、遺言として有効か?の答えですが、これらのものは、遺言としての効力が認められません。

遺言は、必ず法律で定められた方式に従って行わなければなりませんのでご注意ください。

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外国での遺言作成

こんにちは。司法書士の三輪です。

今日は、「外国人」「日本人」が本国ではない場所で遺言書が書けるのかをお話します。

外国人が、日本で遺言書を作成することはできますか?ですが、遺言をする地(=行為地)である日本の方式に従って、遺言書を作成することができます。ただし、その遺言が有効かどうかは、遺言したときの本国の法律によって決まるため、あらかじめ遺言者の本国の法律を調べておく必要があります。

日本人が、外国で遺言書を作成することはできますか?も同様に遺言をする地(=行為地)である外国の方式に従って、遺言書を作成することができます。しかし、その遺言が有効かどうかは、遺言したときの日本の法律によって決まるため民法の定めに従う必要があります。

ここで注意すべき点はそれぞれの方式によって遺言書を作成しても、その遺言が適法に成立し、効力を生じるかは別問題ということです。本国の法律に違反する遺言は無効となるのです。

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遺言できる?

こんにちは。司法書士の三輪です。

今日は、「目が見えない」「耳が聞こえない」「字を書くことができない」「話すことができない」という方は遺言できるのか?と「共同遺言の禁止」についてお話します。

「目が見えない」「字を書くことができない」という方は「公正証書遺言」、「耳が聞こえない」「話すことができない」という方で、「字を書くことができる」方は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」をすることができますので安心してください。「公正証書遺言」については後日のブログで改めてご説明します。

次に、共同遺言の禁止についてですが、答えは「できません。」
それはなぜか?複数の人が同じ書面で遺言することを「共同遺言」といいます。これを民法では禁止されています。遺言の内容が不明瞭となったり、その解釈が複雑になったり、変更・撤回する場合に遺言することが困難になるなど、さまざまな問題が起こらないようにするためです。たとえ夫婦であっても同時に一つの書面で遺言することはできません。

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遺言はどのくらいの人が行っているのか

こんにちは。司法書士の三輪です。

今日は「遺言をどのくらいの人が行っているか」をお話ししたいと思います。

自筆証書遺言については、遺言をしたことをどこにも報告することになっていない為、その実数を把握することはできません。しかし、遺言者が死亡して自筆証書遺言や秘密証書遺言があるという場合には、家庭裁判所に検認の請求をしなければならないので、遺言した人の数は予測できます。

平成7年には8065件だった検認数も平成25年には16708件となり、この18年で2倍以上となっています。
また、公正証書と秘密証書遺言については、日本公証人連合会の統計によると、毎年少しずつ増加していることがわかります。

公正証書遺言件数の推移(日本公証人連合会資料等)
年度   件数      年度      件数
平成7年  46,301 平成8年 49,438
平成9年  52,433 平成10年 54,973
平成11年  57,710 平成12年 61,255
平成13年  63,804 平成14年 64,007
平成15年  64,376 平成16年 66,592
平成17年  69,831 平成18年 72,235
平成19年  74,160 平成20年 76,436
平成21年  77,878 平成22年 81,984
平成23年  78,754 平成24年 88,156
平成25年  96,020 平成26年 104,490

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遺言の効力

こんにちは。司法書士の三輪です。
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今朝の日の出

今日も遺言についてです。「いつから効力を生じるか」と「変更・撤回ができるのか」をお話します。

遺言は、一定の方式に従って遺言書が作成されますが、その効力は遺言者が「死亡したとき」に生じます。遺言の内容に条件を付すことができる場合には、「停止条件付遺言」をすることができます。たとえば、「A男とB子が結婚したときに土地を寄贈する」と遺言した場合、遺言者の死亡した場合、A男とB子が結婚したときに遺言の効力が生じることになります。

一度有効に作成した遺言書を、後で気持ちが変わり、これを変更したり、撤回したいと思うことがあります。遺言者はいつでも、遺言の全部又は一部を撤回することができます。後で撤回して遺言書をなかったことにもできるし、気持ちや事情が変われば、その部分について変更することもできます。なお、遺言を「変更」・「撤回」するためには遺言者がその時点で遺言する能力があること、必ず遺言の方式に従って遺言しなければなりません。

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遺言の内容

こんにちは。司法書士の三輪です。
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今朝の日の出

今日も遺言についてお話します。

まず、「遺言は誰でも行うことができるのか」ですが、満15歳以上の人は誰でも遺言することができます。しかし、自分の行為の結果を判断できる能力(=意思能力)がなければなりません。精神上の障害があるために判断能力のない場合、有効な遺言をすることはできません。

次に、「遺言に書ける内容」を詳しく説明していきます。
法的な効力を生じるもの(遺言によって行うことが法律で認められているもので、その内容の実現が法的に約束されているもの)は次の4つです。
① 相続に関すること
例)法定相続分と異なる相続人を指定し、その指定を第三者に委託
遺産分割の方法の指定、その指定を第三者に委託。また、遺産分割の禁止
遺留分の減殺の方法を指定する
系譜、祭具、墳墓などを継承してこれを守る人を指定する
② 財産の処分に関すること
例)財産を第三者に寄贈、保険金の受取人を変更、信託の設定
③ 身分に関すること
例)嫡出でない子の認知、未成年後見人・未成年監督人を指定
④ 「遺言の執行」に関すること
例)遺言執行者の指定、その指定を第三者に委託

※遺言することができないものの例を挙げておきます。
一定の身分行為(婚姻、離婚、養子縁組、離縁)
債務の分割方法の指定

法的な効力はありませんが、遺言者の家族などに対する気持ちや希望、葬儀や献体のこと、死後の事務処理のことなどを「付言事項」として書いても差し支えありません。

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