信託Ⅴ

こんにちは。司法書士の三輪です。
10月も終わりですね。
いよいよ年末に突入です。今年はあれやこれやと早めに準備しようと思う今日この頃です。

さて、本日も家族信託についてです。
前回の例を本日も使用します。
委託者の父親(70歳)が、受託者の息子(45歳)と信託契約をし、受益者を委託者である父親とした場合。信託財産は父親所有の賃貸マンション。すなわち、父親が息子に自分の賃貸マンションの管理を任せ、息子は賃貸マンションを管理し、賃貸マンションから得られる賃料収入を父親に渡す形態です。

父親が認知症になった時に備えて家族信託を利用すると書きました。
ここをもう少し細かく見ていきます。
我々の日常生活は、すべて契約で成り立っています。
例えば、物を買うとういう売買契約、家を借りる賃貸借契約、預金を預入れ・払戻しする(預金契約)など、父親が認知症になってしまうと判断能力の程度によりますが、これらの契約を行う事ができなくなります。

では誰が代わりに契約をするか?とういう事ですが、このような方のために成年後見制度があります。
本人の代わりに後見人が家庭裁判所より選任され、後見人が裁判所の監督下のもとで代わりに財産管理を行います。

ただし、あくまでも後見人は父親のためにしか財産を使うことができないという制約を裁判所監督下のもと受けます。
財産の投資運用や処分、相続税対策などは原則できなくなります。
後見制度自体は、素晴らしい制度でこの制度でたくさんの方の財産が守られている事は事実ですが、ケースによっては対応が難しくなる場合もあります。

その場合に、父親の財産を信託財産とし、息子さんを受託者にして、信託契約に従い息子さんに柔軟な財産運用をしてもらうことができるのです。各人様々な事情がありますが、ケースによってこの信託が非常に有効になるのです。

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