司法書士 三輪直也のブログ

法定後見と任意後見

こんにちは。司法書士の三輪です。
本日は、法定後見と任意後見について一つ一つ比較しながら違いをお話ししたいと思います。
 
成年後見制度は認知症や知的障害などにより判断能力が低下した人を支援するための制度です。この成年後見制度は大きく分けて2つの仕組みがあります。それが「法定後見」と「任意後見」です。

簡単に説明すると、法定後見はすでに判断能力が低下した方のための制度で、任意後見は、今は元気だけど将来に備えておきたいという方のための制度です。つまり、後見人を選ぶタイミングが制度利用者の判断能力が低下した「前」なのか、「後」なのかということです。

法定後見は、家庭裁判所に申し立てをすることによって開始します。これに対し、任意後見は、まず、公証役場へ行き、任意後見契約を公正証書で締結することになります。その後、制度利用者の判断能力が低下したタイミングで任意後見受任者が家庭裁判所に申し立てをすることにより開始となります。

次に支援の内容ですが、法定後見は、制度利用者の判断能力の程度、利用者や申立人の意向、支援の必要性などを考慮して、裁判所が決定します。これに対し、任意後見は契約ですので、自由に内容を決められます。

また、後見人の選ばれ方も違います。法定後見の場合、後見人を裁判所が決めます。任意後見の場合は、後見人を自分で選ぶことができます。自分の財産すべてをまかせられる人ということになりますので、是非、リーガルサポートに登録している司法書士も選択肢に入れてみて下さい。

続きは明日のブログをお楽しみください。

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遺言できる?

こんにちは。司法書士の三輪です。

今日は、「目が見えない」「耳が聞こえない」「字を書くことができない」「話すことができない」という方は遺言できるのか?と「共同遺言の禁止」についてお話します。

「目が見えない」「字を書くことができない」という方は「公正証書遺言」、「耳が聞こえない」「話すことができない」という方で、「字を書くことができる」方は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」をすることができますので安心してください。「公正証書遺言」については後日のブログで改めてご説明します。

次に、共同遺言の禁止についてですが、答えは「できません。」
それはなぜか?複数の人が同じ書面で遺言することを「共同遺言」といいます。これを民法では禁止されています。遺言の内容が不明瞭となったり、その解釈が複雑になったり、変更・撤回する場合に遺言することが困難になるなど、さまざまな問題が起こらないようにするためです。たとえ夫婦であっても同時に一つの書面で遺言することはできません。

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遺言はどのくらいの人が行っているのか

こんにちは。司法書士の三輪です。

今日は「遺言をどのくらいの人が行っているか」をお話ししたいと思います。

自筆証書遺言については、遺言をしたことをどこにも報告することになっていない為、その実数を把握することはできません。しかし、遺言者が死亡して自筆証書遺言や秘密証書遺言があるという場合には、家庭裁判所に検認の請求をしなければならないので、遺言した人の数は予測できます。

平成7年には8065件だった検認数も平成25年には16708件となり、この18年で2倍以上となっています。
また、公正証書と秘密証書遺言については、日本公証人連合会の統計によると、毎年少しずつ増加していることがわかります。

公正証書遺言件数の推移(日本公証人連合会資料等)
年度   件数      年度      件数
平成7年  46,301 平成8年 49,438
平成9年  52,433 平成10年 54,973
平成11年  57,710 平成12年 61,255
平成13年  63,804 平成14年 64,007
平成15年  64,376 平成16年 66,592
平成17年  69,831 平成18年 72,235
平成19年  74,160 平成20年 76,436
平成21年  77,878 平成22年 81,984
平成23年  78,754 平成24年 88,156
平成25年  96,020 平成26年 104,490

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民法改正 消滅時効

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日も引き続き民法改正です。

昨日より民法改正についてお知らせしておりますが、では実際新しい民法が施行されるのはいつごろになるか?ですが、
具体的な施行時期は現時点では決まっておりません。

噂では、2018年(平成30年)中と言われておりますが実際はまだ決まっておりません。

民法改正点
※消滅時効の期間について
原則5年に統一となります。

貸金の返済を請求するなどの権利(債権)は、一定の期間を過ぎてしまうと請求できなくなります。この制度のことを消滅時効といいます。
現行民法では、権利を行使できるときから10年間を経過し、相手方が時効を主張すると権利が消滅することになります。

現行民法では、消滅時効の期間を飲食店は1年、建築工事は3年と、債権の種類に応じて分けられています。
しかし、このような区分では複雑でわかりにくいことから、改正民法では以下のように変更されます。

権利を行使できることを知ったときから5年(主観的)
権利を行使できるときから10年(客観的)

一般的には、債権者は債権が発生した時を知らないことは考えづらいため、消滅時効は原則5年ですね。

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民法改正

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日は民法の改正についてです。

唐突ですが、民法が改正されることをご存知でしょうか?

現行の民法が誕生してから約120年が経過しています。
明治29年に誕生した民法も、現代の社会や経済とあわなくなっていることや、規定の仕方がわかりにくいということで見直しをすることになりました。

現代の社会や生活にマッチした国民にわかりやすい民法に改めることが今回の改正の目的です。

民放のどこが変わるのか?

現行民法は、5つのパートに分かれています。
1.意思能力や消滅時効の期間などの一般的な事項を定めた「総則」
2.所有権や抵当権といった人と物の関係を定めた「物件」
3.売買契約や消費貸借契約といった人と人との債権債務の関係を定めた「債権」
4.結婚や養子縁組などの関係を定めた「親族」
5.人が死亡したときの関係を定めた「相続」

今回の改正では、総則の一部と債権の大部分が変更となります。
生活に密接に関わる部分も多々あります。

順次ブログで紹介していこうと思います。

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遺言の効力

こんにちは。司法書士の三輪です。
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今朝の日の出

今日も遺言についてです。「いつから効力を生じるか」と「変更・撤回ができるのか」をお話します。

遺言は、一定の方式に従って遺言書が作成されますが、その効力は遺言者が「死亡したとき」に生じます。遺言の内容に条件を付すことができる場合には、「停止条件付遺言」をすることができます。たとえば、「A男とB子が結婚したときに土地を寄贈する」と遺言した場合、遺言者の死亡した場合、A男とB子が結婚したときに遺言の効力が生じることになります。

一度有効に作成した遺言書を、後で気持ちが変わり、これを変更したり、撤回したいと思うことがあります。遺言者はいつでも、遺言の全部又は一部を撤回することができます。後で撤回して遺言書をなかったことにもできるし、気持ちや事情が変われば、その部分について変更することもできます。なお、遺言を「変更」・「撤回」するためには遺言者がその時点で遺言する能力があること、必ず遺言の方式に従って遺言しなければなりません。

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遺言の内容

こんにちは。司法書士の三輪です。
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今朝の日の出

今日も遺言についてお話します。

まず、「遺言は誰でも行うことができるのか」ですが、満15歳以上の人は誰でも遺言することができます。しかし、自分の行為の結果を判断できる能力(=意思能力)がなければなりません。精神上の障害があるために判断能力のない場合、有効な遺言をすることはできません。

次に、「遺言に書ける内容」を詳しく説明していきます。
法的な効力を生じるもの(遺言によって行うことが法律で認められているもので、その内容の実現が法的に約束されているもの)は次の4つです。
① 相続に関すること
例)法定相続分と異なる相続人を指定し、その指定を第三者に委託
遺産分割の方法の指定、その指定を第三者に委託。また、遺産分割の禁止
遺留分の減殺の方法を指定する
系譜、祭具、墳墓などを継承してこれを守る人を指定する
② 財産の処分に関すること
例)財産を第三者に寄贈、保険金の受取人を変更、信託の設定
③ 身分に関すること
例)嫡出でない子の認知、未成年後見人・未成年監督人を指定
④ 「遺言の執行」に関すること
例)遺言執行者の指定、その指定を第三者に委託

※遺言することができないものの例を挙げておきます。
一定の身分行為(婚姻、離婚、養子縁組、離縁)
債務の分割方法の指定

法的な効力はありませんが、遺言者の家族などに対する気持ちや希望、葬儀や献体のこと、死後の事務処理のことなどを「付言事項」として書いても差し支えありません。

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遺言の必要性

こんにちは。司法書士の三輪です。
今日も「遺言」についてお話します。

そもそもなぜ「遺言」は必要なのでしょうか?
 
遺言を残さない方は、
「私には遺言しておくほどの遺産はない」
「私の家族は皆仲が良いから、遺言がなくても大丈夫」
「特に希望はないし、法律の規定とおりに分けてくれればよい」
と考えてみえるのではないでしょうか。

本当に大丈夫と言い切れますか?

遺言がないと、遺産分割に時間がかかることがあります。いくら家族の仲が良いからといっても、相続人の配偶者や子などの思惑もからんで相続人同士で争いになることも多いのです。不動産などのように換金が困難なものもあり、法律とおり分けることが難しい場合もあります。
相続について争いが生じたときは、最終的には、裁判所の判断に委ねるしかありません。時間も裁判費用もかかります。遺言があれば、被相続人の意思を明確にしておくことで相続の手続きをスムーズにおこなうことができます。
遺産をめぐる争いを未然に防止するという意味でも「遺言」は効果的な手段なのです。

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遺言とは何か

こんにちは。司法書士の三輪です。
今日からは何回かに分けて「遺言」についてお話します。

「遺言」は、「ゆいごん」または「いごん」と言われます。
遺言者の生前の意思や希望を表したもので、遺言者の「死亡の時」にその効力が生じ、その内容が実現されます。
次のような要件を備えていなければなりません。
・法律に定められた方式に従っていること。
・法律に定められている事項に関する遺言であること
  
「遺言」と「相続」の関係ですが、民法では死亡すれば相続が開始し、その財産は相続人に、原則として、法定相続分に従って継承されます。しかし、被相続人が「遺言」していれば、法定相続よりも遺言が優先します。そのような遺言がなければ法定相続となります。

但し、遺言と「遺留分」に関する規定との関係は、若干異なります。遺言によって行った相続分の指定も、遺留分に関する規定に違反することはできません。従って、遺言が一部修正を受けることがあります。

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特別縁故者

こんにちは。司法書士の三輪です。

本日は、昨日の記事にも書きました「特別縁故者」についてもう少し詳しくお話しします。

「特別縁故者」とは、被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人、そのほか被相続人と特別の縁故があった人をいいます。

具体的に言いますと、「被相続人と生計を同じくしていた人」とは、内縁の配偶者、同居していた叔父・叔母、先に死亡した子の妻など相続権のない人です。「被相続人の療養看護に努めた人」とは、実際には、「生計を同じくしていた人」と重複する場合が多いのですが、それ以外に、知人、隣人、ケアマネージャー、家政婦、看護師、民生委員などです。「そのほか特別の縁故」とは、被相続人の生活の援助をしてきた人、生活の世話をしてきた人が該当します。また、地方公共団体、宗教法人、社会福祉法人といった法人などでも生活上、交流があった場合は、それに該当します。

「特別縁故者」に対しての相続財産分与は次のように行われます。
「相続人の不存在」が確定してから3か月以内に、家庭裁判所に対して、「特別縁故者」が
「相続財産分与の申し立て」を行います。その後、家庭裁判所が、特別縁故関係の有無、特別縁故者の年齢、職業、相続財産の内容・状況などを、一切の事情を考慮したうえで、相続財産の分与を認めるかどうかを判断します。

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